
どんな工事でもそうだろうが、"やりやすい現場"、"やりにくい現場"がある。それは屋根そのものの形状等による難易度であったり、仕様の縛りであったり、物件の用途、仮設足場の使い勝手、周辺環境等、要因は様々である。
今回の現場の障害は、搬入路の距離の長さだ。トラックが最接近出来る場所から建物までに、長い石段を徒歩移動しなければならない。ただ歩くだけならどうということもないが、道具や丸太、茅や竹といった材料も、全て人力で運ばねばならない。古屋根を解体した廃材も、全て人力で運び降りるのだ。
やりやすい現場なら、仮設足場にトラックを横付けし、荷台から茅を投げれば足場に載せられる。そして、空になった荷台に今度は廃材を投げ落としたりすればよい。
それが無理で、トラックから建物までの距離が遠くても、平面なら一輪車やリヤカーなどの利用で、一度に運べる量を稼ぐことが出来なくもない。
が、此度の現場はところどころ石段のある坂道。一輪車も使えなくはないが…というところである。しかも遠い。大変でも、ちょっとずつ肩に担いで運ぶしかない。人海戦術で一気に運んでしまうのが最良策ではあるのだが、悲しいかなこういう現場は、建物付近の資材置き場も狭いのだ。どのみち、チビチビ使う分だけずつ運ぶしかなかったりする。
やれやれと思いつつ、ふと考える。これよりさらに奥の建物は、建築時どうやって長大な材木などを運んだのだろう。いや、ずっと奥まで続くこの石段の材を運ぶ労力も相当なものだったはず。そもそもトラックなどなかった頃、道の舗装などなかった頃…と考え出すと・・・。すみません参りました、この程度で文句言いません…という気持ちにさせられる。
足腰、首肩にコリを抱えながら頑張って運んだ茅・竹たち。無駄には使えない。
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