vol.202 贅沢な雑務

 昨年終盤までの現場仕事で足腰をだいぶ痛めてしまい、さすがに屋根仕事をしばし控えることにした。幸い茅刈り、藁細工が忙しい時期でもあったし、無理して屋根仕事を詰め込むことはやめようと、この冬は割り切って考えることにした。(茅刈りもまぁまぁ重労働ではあるが…)

 雪が降って茅刈りはおしまい。年越しして藁細工もおしまい。日々の過ごし方に大義名分がなくなってくる。次の現場仕事が始まるまでの隙間時間、経営的には少しでも仕事をねじ込むべきなのだが、そうやって仕事を詰め込み過ぎて体を傷めたのではと自分を戒め、いろんな焦りを抑えてのんびり過ごしてみることにした。

 正月が過ぎてからは、長年いつかやろうと思って目を背けてきた、事務所部屋の大量の書類ファイルの整理に着手。いつか役立つかも、と思ってとっておいた書類やメモが、ほこりとクモの巣にまみれて大量に眠っていた。一念発起、ひとつひとつ取り出し、改めて選別してファイルし直す。最終的に2~3日かかったものの、いざ着手し出したらなかなか快感でもある。全くもってパソコンと同じ。不要データを削除したら、動作も軽くなるだろうという気持ちで。

 事務所整理が大方終わり、今度は天気が良かったので軽トラの洗車。普段なら、天気が良い日に屋根に登っていない状況は心が落ち着かない。しかしここも今は割り切る。トラックもまた、普段手を付けないところまで掃除してみる。どうせすぐ汚れるとは思いつつも、オンボロであれピカピカになったトラックを見ればやっぱり清々しい。

 

 長年ごまかしつつ履いてきたトラックのタイヤも、もうツルツルだ。夏タイヤ履き替えの時までに、中古でもいいから買っておかねばならない。まともに仕事をしていなくても、何やかやとお金は容赦なく減っていく。それが怖くて体を動かし続けてきたけれど、体のメンテナンスを疎かにしたあおりが着実に来ていた。がむしゃらに働くことが時に愚かでもあり、開き直って立ち止まることが時に英断だったりもするのかも知れない。いかにもな屋根仕事日和、にひとりでのんびり洗車をしながら、そんなことを思った。

 

 とはいえ、お金は勝手に湧きはしない。さぁ、年明けからだいぶ遅れをとったが、ボチボチ本格的に始動しなければ。