vol.201 気候変動の行方

 画像は昨年末、茅刈り中のもの。年内予定していた全ての屋根工事を終えた後、引き続き大急ぎで取り掛かった茅刈りだったが、12月半ばの重たい初雪で、ほぼ全て押し倒されてしまった。

 結果的に、刈れた茅の量は例年の7割程度。痛手だが仕方ない。野焼き出来ない…つまり茅が悪かろうが倒れていようが、来年に向けて全て刈り払わねばならない茅場だけは、皆刈り終えられた。それだけでも良しとしよう。問題というか懸案事項は、他にある。

 実は、例年の7割程度の収量であった理由は、時間の足りなさと降雪の早さだけではない。"茅が少なかった"のだ。これは今までで初めて感じる事象だ。

 年によって、同じ茅場でも茅の良し悪しには大いに振り幅がある。それはいつものことなのだが、今年は茅場ごとに採れる茅の束数が明らかに少なかった。台風や大水の被害があったわけでもない。

 理由は様々かも知れないが、ひとつ例年と明確に違ったのは、イノシシらしき被害だ。地域一帯、土という土が無作為に荒々しく耕されたようになっている。イノシシがエサを求めて掘り起こしているらしい。猟師さんたちの話を聞くと、今シーズンのイノシシは脂のノリが良くないらしい。夏の高温の影響か、山にエサが乏しいのだろう。里に下りて、あちこち掘り起こしてエサを探す。

 茅刈りしていて、根っこの株の塊ごとスポスポ抜けてしまう茅に大量に出会った。これは始末が悪い。茅が食われた、倒されたなら翌年また復活するが、片っ端から根こそぎ掘り倒されては、もう消滅するばかりである。

 里に下りてくる獣には同情するし、道具も使わずあれだけ掘り起こす力には感心すらする。だが、こんなことが続いては非常にマズい。

 

 今朝のニュースで、葉物野菜の異常な高騰について報じていた。燃料等の高騰に加え、異常な猛暑による収量減が追い打ちをかけたと。コメンテーターが口にしていた、「"異常な猛暑"って言っても、もはや通常ですよね…。」のセリフに同感。近年、今年の夏は平年並みで過ごしやすいな、なんて思ったことはない。

 命の危険さえある、猛烈な暑さがもはや日本の夏なのだ。気象庁からクーラーの効いた室内で過ごすようにと警告がなされ、各戸の室外機から大量の熱風が放出され、さらに温暖化は進んでいく。あらゆる環境問題の果て、このままでは地球に人が住めなくなってしまうなどと言われるが、都市部の真夏など、人間は電力ナシではとっくに暮らせないだろう。

 

 地球の未来のために~!…と声を上げるような行動力はない。けれど、やがて訪れるであろう危機的状況って、意外とすぐそこに迫っているんじゃないかという、うすら寒い想いも頭をよぎる。

 結局偽善や自己満足かも知れないが、せめてなるべく土に近い生活を送っていよう、送っていたい、と思う。