vol.130 同居人たち

 倉庫内の茅を移動させていると、中から出てきた……。でかいねキミは。160㎝って言ったら、縦にしたらうちの奥さんより大きいじゃない。まだ茅の山のどこかに潜んでいるってことかい?脱皮したってことは、まだデカくなるんかい?

 必ずしも喜ばしいことではないのだけれど、茅の倉庫の中にはいろいろな同居人が見受けられる。多種の虫たちはもちろん、カエルに、こうしたヘビ・トカゲ類、巣作りをするツバメ、ネズミの仲間、ネコなどの小動物…。

 食品を扱うわけではないのでそれほど神経質になることもないが、鳥や小動物が住み込むと、茅などの上に糞が溜まったりするので少々困る。ネズミは藁や茅の山に入り込み、寝床にするためなのか周囲を齧り散らしたりするので、これも困る。両手にいっぱい荷物を運んでいる時に、顔がクモの巣にかかったりするとクモに説教したくなる。(向こうこそ怒っているだろうが)

 茅葺き屋根の上と同じく、茅の倉庫内でそれなりの生態系、食物連鎖のミニチュアが出来上がっているらしい。面白いことではあるけれど、こちらも食っていくための仕事の場。愛でて楽しむか排除すべきかは、状況次第。人間とて生存競争の一員なのだ。

 とは言いつつも、毎日同じ場所に巣を張り直すクモなどを見ていると、おはようさんと言いたくなるような愛着も沸いてしまう。生存競争を繰り広げつつも、仲良くやっていけたらよいのだが。必死に茅を積み込んでいる最中に、どでかいヘビとご対面するのは出来れば御免被りたい。