vol.82　子ぶんなと内職

　いつでもいいので…とはいえ、ご注文頂いていたわら・茅細工の製作が遅れていた。取り掛かるまでの腰が重い…というのは、子どもの宿題と同じか。時間があるかないかではなく、やるかやらないか。つまり、やってしまわねば。

　物さえ用意しておけば、わら細工などは自宅の室内でも一応出来る。帰宅後、夕食を済ませたのちに、注文を頂いていたホウキの製作に取り掛かった。ほどなく、息子が自分もやるわともう１スペース広げ始めた。

　すでに何回も作っているため、品質はさておいても、作り方は彼も熟知している。いつの間に集めていたのか、材料のストックもあるようだ。なかなかやるじゃないと思う一方、夜な夜な、黙々と、わら細工をしている小学生の姿はまあまあ異常でもある。彼はそれを自分の収入源にしているので、ひたむきと言うべきか、したたかと言うべきか難しい。

　「裏のグミの木、まだ青いけど実がなってたで。」「ホンマに? 気付かんかったわ。」　「わらホウキのここの部分を"ふんどし"って呼ぶことにしてん。」「それいいな。」 ・・・とりとめのないどうでもいい会話をしながら、淡々とホウキを作る。昔の家族も、冬は屋内でわら打ちをしたり縄ないをしたりと、家庭内労働をしていたようだが、それもこんな感じだったのかな。

　緊急事態宣言が解除され、子どもたちの学校も再開される。子どもに宿題は終わったかと口にするたび、自分の宿題も頭をよぎる。雨に弱い茅葺き仕事と違い、ステイホームでも出来るからと取り掛かり始めたわら細工ではないか…。自宅での作業は誘惑も多いのだが…、さっさとやらねば子どもに示しがつかない。