vol.52 つなげる葺き替え

 約半年間の出張、うち直近2ヶ月間の1人作業を経て、ようやく"地元の普通の現場"という雰囲気に戻れた気分のこの頃。異常な暑さ、朝晩の肌寒さと気候はややおかしいが、やはり自宅から通える現場は気分的な落ち着きがあっていい。

 

 今回の現場は2年ほど前に、上半分を葺き替えた家。今回は残った下半分を葺き替える。結果的に、前回葺いた上段につなげていく形となる。

 民家の屋根は特に、全面ぐるりと葺き替えることは稀で、大抵は面ごと或いは面のどこかで区切り、分割して数年おきに葺き替えていくことが多い。

 

 うまく厚みを合わせ、上手に上下段を繋ぎ合わせ、その部分が以降も弱点となってしまわないように仕上げる。なかなか難しい。初心者の頃はうまく繋がっただけで喜んでいたが、見た目がきれいに繋がればいいというだけのものではない、ということを今は知っている。だから、以前より難しく感じる。

 

 後輩にえらそうにダメ出しをしながら、一方で自分が担当した箇所を祈る気持ちで振り返る。答えは数年~数十年後に現れる。まだまだ人生長い。恐れずいろいろ試して、自分の経験値を高めていくしかない。